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世の中なんでも早く安く便利になればいいものではない。
日頃学生を近くで見ているが、ものを作るモチベーションが
「〜だと面倒だから。」ということが多いと感じる。
プレゼンテーションでそう言ってしまう学生も少なくない。
ハッキリと言わなくても彼らの顔の多くにはそう書いてある。
僕はアーティストで表現者なので、
手間や無駄の中にあるわずかな美を探すクセがあるようだ。
合理的な社会においてはアーティストという存在自体が無駄なものだから
僕は手間や無駄を是認せずにはいられないのかもしれない。

「どうやって食べているのか。」
「好きなことをやってていいね。」
「あなたは頑固で変わってる。」

そういうことをよく言われる。
アーティストなんていう浮雲のような輩は
真面目に働いている自分よりも絶対に苦労していて欲しい。
そういう日本人ならではのストレートな気持ちなんだろう。
同じものを同じ見方で賞賛して貶して。
人と同じ場所に行って同じようなものを買い、もらい喜び。
大勢でダンゴになって流れていく姿を、
アーティスト達は逆に離れた位置から冷静に観察しているのかもしれない。 

新しい技術を求めて未来を具現化していくのは一つの正義だが、
きっとそれは、もっと新しい何かの登場で忘れられていくだろう。
僕はそういうものに揺るがない「普遍的な美」を作りたいと思っている。
システムによって寸分たがわず正確に作られた多くの物よりも
人間の執着心によって作られた少しずつ形の違う多くの物がいい。
人々がショートカットしたい面倒で無駄な部分にこそ
魅力の本質があるはずだと信じている。